イチゴミルク *




「だめ」




藤田くんの少し掠れた声が聞こえる。



抱きしめる力が強くなって、
顔を上げさせてくれなかった。





「俺だって本当はおそろいの欲しかったよ」

「…ほんと?」

「…ん、ほんと」




耳元で聞こえる声に、堪えられない…っ。

嬉しい言葉を、耳元で言わないで…。




「リコと一緒にいると、俺が俺じゃなくなる…」




藤田くん…。




「……理性がきかなくなる」
  



『俺、こんなキャラじゃないよ』って、少し笑う声がした。



…苦しい。




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