イチゴミルク *




早く飲め、みたいな顔をされたから
口をストローに近づける。



う、わ。うわあ。

涙なんか信じられないくらいあっという間に引っ込んでしまった。


だってあたし、藤田くんと間接キスを……っ。




「…っ、甘い…」



ひとくち口に含んだだけで広がるイチゴミルクの甘ったるい味。



「甘くねーよ」

「甘いよ…」



あたしが眉間にしわを寄せると
『せっかくやったのに失礼なヤツだな』って笑った。



……っ!


笑った。

藤田くんが、またあたしに笑ってくれた。


「笑った………」

「…は?普通に笑うって」

「だって人前であんまり笑わないからっ」



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