なつとふゆ


「じゃ、さよなら」

勢いよくそう言い放って走り出したはずだった。



「まってよ」



矢代くんは走り出したはずの私の手を握って止めている。


「隣の席のやつ誰?」


「だだの幼なじみです…が…」


なんでそんな質問するのか驚いて矢代くんと3秒くらい見つめ合っていたとき遠くから声がした。



「夏希くーん!どこにいるのー校舎案内するから出てきてよー」


その声ではっと我に帰った私は無理やり矢代くんを引っ張った。



「放してっ!」


無理やり引っ張り過ぎたのかそのまま前にバランスを崩してしまった。


あ!転ぶ!



そう思って目をつぶったはずなのに。
…痛くない


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