なつとふゆ
「あっぶねーな」
バランスを崩した私を後ろから矢代くんが押さえてくれていた。
急いで立ち上がるとクラスの女子が私たちを見つけて駆けてきた。
「あーここにいたんだ!詩織となにしてたのー」
甘えたような声で矢代くんに聞いた絢香。
気の強い絢香でもこんな声で話すんだ…
「とくになにも」
そう言い放って後ろにいる私の方を向いた矢代くんは少し笑って楽しそうに
「お前…やっぱり放っておけねーな」
と言っていやいやながら10人くらいの女子に連行された。
やっぱり…?
いろいろと突っかかったまま矢代くんが教室に連れていかれる後ろ姿を見ていた。