なつとふゆ



また少しの沈黙があってから



「俺は諦めたくないけどな」



小さくボソッと言った言葉を私は聞き取れなかった。




「でもさ矢代くんモテるしそんな運命の人とかじゃなくても選び放題じゃん」


なにかボソッと言った言葉を聞き取れず私は話しをそらすようにして黙っている矢代くんに言った。


「あと冬斗さんもモテそうだし!兄弟そろってモテモテなんてずるいよ」


前に座っている矢代くんに向かって笑顔で身ぶりしながら熱く語った。


そうすると矢代くんはまた頭をかいて私の方を見た。


「あんなのうるさいだけ。俺は1人しか興味ないから」


「なんか意外と一途なんだね!その恋叶うといいね」



本当に女の子に興味無さそうなのに一途って意外だな…
こんなモテモテの人から思ってもらってたらきっと幸せものなんだろうな…



なんて考えながら時計を見るともう3時になっていた。



「やばい!これからバイトだからもうそろそろ帰るね」


そう言って急いで玄関に向かうとあとから矢代くんもついてきてくれた。


冷たいくせに見送りはしてくれるんだ…




















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