恋の捜査をはじめましょう
先程まで躊躇していた筈の第一歩が…軽やかに。
けれど、ドアが開くと同時に、押し戻される程に強い風に煽られて…
お陰で愛嬌ある背中から若干遅れてからの…帰路についた。
片腕を盾にして、吹雪を遮って歩く私をよそに…
相原さんは姿勢正しく、サクサクと雪を踏み鳴らしながら…前へ、前へと進んで行く。
が、しかし……
ふと、顔を上げた瞬間。
忽然と、その姿は見えなくなっていた。
「………?」
先程通りすぎた路地を…曲がったのだろうか?
いや、相原さんの住む官舎へ向かうには、曲がる必要はない。
では一体……何処へ?
私は…今度は吹雪を背負うようにして、来た道を…戻っていく。
「……?こんな日に、何処へ…?」
ふらりと道をそれた、といった感じじゃない。
しっかりとした足取りは、明らかに何処か決まった場所へと向かうようにも、見える。
興味本位…もあるのだろう。
私は、いつのまにやら…それにつられるようにして。
のたのたと、係長の背中を追って行ったのだった。