恋の捜査をはじめましょう
変なの…。
仕事中なのに、重大な事件の捜査中なのに。
こうして、幼き日の話なんて…してる。
もしかして小さい頃の私たちが、同じ日に、同じ時間に、同じ空の下で…
星を見上げていた。
そんな時が、あったかも…しれないんだな。
そして、何年も経った今…偶然か必然か、こうして出会って。
ぷぷ、なーんて考えてる自分が、らしくもない。
大体、何万といるでしょうよ、星を眺める人だなんて。
でもでも、待てよ?
考えようによっては、その何万人という多くの人の中で…巡りあっているのだから。
人との出会いっていうのは、縁があるってことでもあって。
「……こりゃあ、一期一会ですな。」
「ハ?」
「おっと。いかんいかん、相原派の思想が前面に出てしまいました」
「……?なんだ、それ」
柏木は眉間にシワを寄せて、理解不能だって顔してる。
「……ヨシ。じゃあ、次行きますか」
ヤツはそんな言葉と共に…、キュ、と口元を結んで。
気づけばまた、゛刑事゛の鋭い目付きに…戻っている。
「6区は柏木さんでしたよね。では、中継点ですので、ここでタスキを。私は車に…」
「……待て。誰がパトカー運転すんの?鮎川、青免ないだろ」
「……へ?」
「上司に運転して頂くワケにはいかないし」
「…おお?待って、それって…」
ジェットコースター、ここで急降下!並みの…恐怖じゃあないか?!
「……鬼か!」
「乗るか乗らないかは任せるけど」
「乗るワケないでしょう!!冬の、こんっなぐねぐねした道どうやっても危険でしょう」
「凍結防止の薬剤撒いてる」
「知ってても、するかっ!」
「……だよなあ…。普通の感覚してたら、下りは歩くだろうな」
「………。なに。今、カマかけた?」
「ううん。じゃ、下まで来たら…人通りのない道を通ってココまで来て。時間かかからない方がいい。ちゃんとどこ通ったか記憶も。チャリは道路状況見て、判断しな」
柏木はスマフォに目的地を表示させて。
「アンタ、ここ地元だろ?鬼だって言うなら…俺らに捕まらないように、逃げ切れよ」
なんて…ほくそ笑んだ。
「容疑者、鮎川潤。出来るのなら、俺の手で…捕まえてやりたいけどな。けど、簡単にそれを許すんじゃねーよ?」
サイクリングの次は。
今度は…鬼ごっこか。
なんという、デートコースでしょう。