恋の捜査をはじめましょう
目が覚めて。
一瞬……自分が今、どこに居るのかと…
ぼうっとした頭のまま、きょろきょろと辺りを見渡した。
それだけ、リアルな夢を見ていたのだろう。
けれど……、起きてしまうと驚くくらいに、その内容を忘れてしまうことがあるっていうのが、なんとも不思議だ…。
なのに――…
ちゃあんと、残される物がある。
それは…、感覚であったり、感情であったり…。
さて。
私の…目覚めは?
悪夢を見たような、恐怖心や焦燥感?
いいや、そんな後味の悪いものでは…ない。
涙が溢れ出て、止まらなくなるような…悲しさ?…絶望感?
いや、全くもって…逆だ。
何だろう…、この、懐かしいような…
ちょっとした…苦味と。
ほっこりするような…温かさと。
胸に燻る…、不思議な感情。
いつだったか…思い出せないけれど。似たような感覚を…味わったことがある。
フィルターがかかっているかのような…ノスタルジックな世界で。
ねえ、
この気持の…正体は?