HとSの本 〜彼と彼女の夢〜
「別に、たいしたことじゃないですよ」
目を背けた。
やましい思いはないけど、胸を張って言えるものでもない。
だというのに先生は。
よいではないか教えたまえ。
と、首根っ子を摘んで持ち上げた。
「なな、なにするんですかっ」
先生はわたしより全然背が高い。持ち上げた腕を釣り上げれば、爪先も地面にかすらない。
30センチは軽く浮いていた。
「はなしておろしてやめてーっ」
わたしは高所恐怖症だっ。
浮いた感覚はどうしても好きになれない。
では話したまえ。
1ミリも高さを変えず言い切った。なんて脅迫っ。
「せめて足を地面に着けて〜〜」
「ああ……可愛い」
背筋がぞくっとした。
結局チャイムが鳴り、そのまま教室まで運ばれてしまった。
もうお嫁にいけない。
「安心しろ私がもらってやる。」
「わたしは女で先生も女です。ついでに言うなら人の心を読まないでください」
「ツッコミが冴え渡っているな。ところで話の続きだが」
「数学の授業は?」
「教師が教科書を開かないのだ。まだ授業は始まっていない」
「チャイムは鳴りました」
「ええい黙れちびっ子ガール、屋上から紐なしバンジーさせて受け止めるぞ」
……怖。
平然とそんなことを言い、冗談だと笑う。
冗談に見えないし聞こえないから余計に怖かった。
目を背けた。
やましい思いはないけど、胸を張って言えるものでもない。
だというのに先生は。
よいではないか教えたまえ。
と、首根っ子を摘んで持ち上げた。
「なな、なにするんですかっ」
先生はわたしより全然背が高い。持ち上げた腕を釣り上げれば、爪先も地面にかすらない。
30センチは軽く浮いていた。
「はなしておろしてやめてーっ」
わたしは高所恐怖症だっ。
浮いた感覚はどうしても好きになれない。
では話したまえ。
1ミリも高さを変えず言い切った。なんて脅迫っ。
「せめて足を地面に着けて〜〜」
「ああ……可愛い」
背筋がぞくっとした。
結局チャイムが鳴り、そのまま教室まで運ばれてしまった。
もうお嫁にいけない。
「安心しろ私がもらってやる。」
「わたしは女で先生も女です。ついでに言うなら人の心を読まないでください」
「ツッコミが冴え渡っているな。ところで話の続きだが」
「数学の授業は?」
「教師が教科書を開かないのだ。まだ授業は始まっていない」
「チャイムは鳴りました」
「ええい黙れちびっ子ガール、屋上から紐なしバンジーさせて受け止めるぞ」
……怖。
平然とそんなことを言い、冗談だと笑う。
冗談に見えないし聞こえないから余計に怖かった。