HとSの本 〜彼と彼女の夢〜
――3、4、5……。
この暑い中、よくやるよ。
冷やかしが聞こえたが、それは世界の端のこと。中央にいる自分には関係ない。
――8、9、10……。
もうすぐクラス最低ラインの平均を越えるな。
無関心な声。彼もまた自分は関係く、興味がないといっている。
それでいい、今は集中したい。
――15、16、17……。
ついに声も聞こえなくなった。
ページを捲る乾いた音と、体力を消費による酸素不足を訴える、自分の声だけが聞こえる。
そのうち、
何回までいったか
わからなくなる
酸素が足りない、休みがほしい、甘えの言葉は同時に生体反応。
これ以上は無理だと鳴らす警告音。それを無視した。
俺が望むものは、外にある。
ちっぽけな枠が煩い。
そんな矮小、許しておけない。
叩き壊してやる
ガタガタ鳴る腕に力を注ぐ。
小さなチューブに大量の水を流し込み、そのまま――
「STOPだ」
制止の声は同時に体を止めた。
引き上げようとした体を押し上げる、誰かの腕。
「ノルマ達成おめでとう」
そう言ってストップウォッチを見せる。
一分ジャスト。
「……なんかい?」
声を出し、その熱に驚いた。
喉が火傷するんじゃないかと心配するくらい、この呼吸は熱かった。
いっそ息をしなければ、忍び寄る熱も止まるのではないか、そんなことを考えた。
「47回」
「……っそ、まだ、無理か」
「十分驚異的だ。この上をノルマにしているんだから信じられないな」
目標は
一分に懸垂60回。
一秒一回する計算。
昔それをした人がいたんだ。
この暑い中、よくやるよ。
冷やかしが聞こえたが、それは世界の端のこと。中央にいる自分には関係ない。
――8、9、10……。
もうすぐクラス最低ラインの平均を越えるな。
無関心な声。彼もまた自分は関係く、興味がないといっている。
それでいい、今は集中したい。
――15、16、17……。
ついに声も聞こえなくなった。
ページを捲る乾いた音と、体力を消費による酸素不足を訴える、自分の声だけが聞こえる。
そのうち、
何回までいったか
わからなくなる
酸素が足りない、休みがほしい、甘えの言葉は同時に生体反応。
これ以上は無理だと鳴らす警告音。それを無視した。
俺が望むものは、外にある。
ちっぽけな枠が煩い。
そんな矮小、許しておけない。
叩き壊してやる
ガタガタ鳴る腕に力を注ぐ。
小さなチューブに大量の水を流し込み、そのまま――
「STOPだ」
制止の声は同時に体を止めた。
引き上げようとした体を押し上げる、誰かの腕。
「ノルマ達成おめでとう」
そう言ってストップウォッチを見せる。
一分ジャスト。
「……なんかい?」
声を出し、その熱に驚いた。
喉が火傷するんじゃないかと心配するくらい、この呼吸は熱かった。
いっそ息をしなければ、忍び寄る熱も止まるのではないか、そんなことを考えた。
「47回」
「……っそ、まだ、無理か」
「十分驚異的だ。この上をノルマにしているんだから信じられないな」
目標は
一分に懸垂60回。
一秒一回する計算。
昔それをした人がいたんだ。