HとSの本 〜彼と彼女の夢〜
出来ないことはない。出来るまで血反吐を吐きながら努力するからだ。
一人で独りでひとりで
チカラ チカラ チカラ
言葉と暴力と親権で虐げられるから、見下し狙われ貶される側に落ちたくなくて。
誰彼構わず拒絶して、それが許される立場を得た。
チカラ チカラ チカラ
立場と権力と知識を得て、それで変わったことといえば孤独を知っただけ。
立場を得ようと虫がよって、権力に守られようと弱者が群れ、知識に逆らうまいと遠退く他人。自分との距離がどうあろうが、そこにふれあいの暖かさは微塵も感じられない。
チカラ チカラ チカラ
立場と権力と知識を得て、それで変わらなかったことといえば絶対的なの位置。
どこに居ようと、
それは血を分けた兄。
なにをしようと、
それは性が同じ親族。
誰であろうと、
それは一瞥する他人。
自分という個の認識、他人という無の認識、チカラという強者の認識、何年という苦痛を味わって得られたことは認識だけ。
どうすれば痛くない。
こうすれば誰も依らない。
そうすれば孤立する。
ただひたすら、知る時間と悼む時間だけが、繰り返し続く日常だった。
――否。
むしろ、
変わることが恐ろしかった。
一人で独りでひとりで
チカラ チカラ チカラ
言葉と暴力と親権で虐げられるから、見下し狙われ貶される側に落ちたくなくて。
誰彼構わず拒絶して、それが許される立場を得た。
チカラ チカラ チカラ
立場と権力と知識を得て、それで変わったことといえば孤独を知っただけ。
立場を得ようと虫がよって、権力に守られようと弱者が群れ、知識に逆らうまいと遠退く他人。自分との距離がどうあろうが、そこにふれあいの暖かさは微塵も感じられない。
チカラ チカラ チカラ
立場と権力と知識を得て、それで変わらなかったことといえば絶対的なの位置。
どこに居ようと、
それは血を分けた兄。
なにをしようと、
それは性が同じ親族。
誰であろうと、
それは一瞥する他人。
自分という個の認識、他人という無の認識、チカラという強者の認識、何年という苦痛を味わって得られたことは認識だけ。
どうすれば痛くない。
こうすれば誰も依らない。
そうすれば孤立する。
ただひたすら、知る時間と悼む時間だけが、繰り返し続く日常だった。
――否。
むしろ、
変わることが恐ろしかった。