絶対零度の鍵
「卓」
深夜。
誰も居ない病院の廊下の待合室。
四角い椅子に座ってそんなことをぼんやり考えていると、兄貴が診察室のドアの隙間から、にょきっと顔を出した。
大欠伸しながら、目線だけで応える。
「ちょっと…」
ちょいちょい、と手を招く。
「何?死んじゃったの?」
「ばっ」
僕の不吉な発言に、兄貴は顔をしかめた。
「ばか!お前、そんなこというもんじゃないぞ。」
「じゃ、助かったわけ?」
悪びれる様子もなく、僕はもう一度欠伸をした。