絶対零度の鍵
「…僕は、今までもこれからもずっとここは地球だと認識しているけど?」


淡々とした口調でそう答えると、右京は眉間に皺を寄せた。


「間違いないのね?」


僕が間違っているのなら、逆立ちしながら土下座して謝るよ。


若干萎えてきた心で僕は健気にツッコミを入れる。


「間違いない。ここは、地球だよ」


適当に頷きながら念を押すが、右京の眉間の皺は益々深くなるばかりだ。


「じゃ、クミが人間だって言うのも…間違いじゃないんだ…」


気のせいか、少し肩を落とした彼女は、切なそうに呟いた。


貴女が残念がろうと、僕は人間で良かったと思ってますけど。
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