絶対零度の鍵
右京に僕の言葉が届いているのかどうか、わからないけれど。
「人間は、無償で受けているものに、気づかない」
独り言のように、右京は呟く。
群青の瞳が、憂いを帯びているように見えて、僕は思わず彼女の肩を掴んだ。
それでも、右京はこちらを見ようとしない。
「だから、亡(ほろ)んじゃうのね。こっち側がどんなに助けようとしたって、当人たちがなんとも思っていないんだから」
何かを諦めたかのような、声音だった。
薄ら笑いさえ浮かべているものの、泣きそうな表情で、僕はなんだか不憫に思えて、つい、
「何を言っているのか、僕にはわからないけど…もしも僕で力になれることがあるのなら…」
うっかり心にも無いことを口にしてしまった。
しまった、と口を覆うが時既に遅し。
「本当に!?」
嬉しそうにこちらを見た右京は、僕の両手を取って、
「嬉しい!」
そう言って笑った。
「人間は、無償で受けているものに、気づかない」
独り言のように、右京は呟く。
群青の瞳が、憂いを帯びているように見えて、僕は思わず彼女の肩を掴んだ。
それでも、右京はこちらを見ようとしない。
「だから、亡(ほろ)んじゃうのね。こっち側がどんなに助けようとしたって、当人たちがなんとも思っていないんだから」
何かを諦めたかのような、声音だった。
薄ら笑いさえ浮かべているものの、泣きそうな表情で、僕はなんだか不憫に思えて、つい、
「何を言っているのか、僕にはわからないけど…もしも僕で力になれることがあるのなら…」
うっかり心にも無いことを口にしてしまった。
しまった、と口を覆うが時既に遅し。
「本当に!?」
嬉しそうにこちらを見た右京は、僕の両手を取って、
「嬉しい!」
そう言って笑った。