絶対零度の鍵
暑さのせいか、納得しかける自分も頭がおかしくなったみたいだ。


―だからまずは鍵師を探さないといけないの。


右京は言った。


自分が落とされた場所と同じ場所から、鍵師というキーパーソンも落とされたらしく、地球にいるのではないかと睨んでいるらしい。


右京とは違って、人間に似たような風貌ではないことから、そのままの姿でふらついていることはないだろうとのことで。


地球という場所に疎い右京は、僕というこの地に詳しい案内人が必要なんだと言う。


病室で目が覚めた時、ここがどこで僕が何者だかわからなかった右京は、僕と握手した際、情報をある程度引き出したらしかった(よくわからないけど)。そして瞬時に理解した。自分が異端者であり、受け入れられないということを。


―それで咄嗟に嘘を吐いたのよ。


ふふふと彼女は不敵に笑った。


―だけど、クミは大丈夫だと思ったの。


何故?と訊いた僕に、右京はこともなげに答えた。


―クミは地球がなくなってもいいって言ったから。
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