絶対零度の鍵
確かに、言った。

自分自身の言葉が、こんな形で返ってくるとは思いもよらなかった。

思わず電信柱に頭を打ち付けたくなる衝動に駆られる。

僕のバカヤロウ、と。


つまりは、僕は人間だけど、脱人間とも取れるわけで、そういう人間は空想の世界の住人ともやっていけると判断されたらしい。


断固違うと言ってやりたい。

僕は地球が大好きですよと。

でももう遅い。

後悔は先に立たず、だ。


僕は何か力になれることがあったら、とつい言ってしまい、右京はおおまかな空想を語った最後に、


―クミには色々協力してもらうけど。さしあたり、住居と食事提供とそれから人探しの手伝いをお願いしたいの。


あまりにも遠慮のない要望を突きつけてきた。


でも僕はヘタレなので。


拒否権なんてないわけで。


なんとなく流れで、家に帰るのに彼女も連れて行き、留学生だと親に紹介し、ホームステイを頼まれたと言うと至極呆気なくおかんは快諾した。


娘が欲しかったのよね、とかなんとか言って。


かなり、可愛がっている。


実際右京は大分美人だし。
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