絶対零度の鍵
電車を降りてから、学校までの間。



「で、誰なの?この子」


今の僕を世間が見るならば、ぱっと見両手に花って所だろう。


だけど皆さん、物事には二面性があるということを、どうか知ってください。


あなたが羨ましいと思う誰かも、実は苦労をしているかもしれないということを。



「卓毅!きいてんの?」



意識を遠くにとばして、聞こえないフリをして学校まで過ごそうとするものの、尭はそれを許してくれない。



「クミ!このうるさい女、何?なんか、ちょっとだけ邪魔だね?」



尭の神経を逆撫でしている原因は勿論この女である。


右京は僕の右腕をがっつり引っ張り、尭は僕の左側にぴったり付いて歩いている。


「黙って!アンタ何様なのよ。卓毅にくっつかないでよ!」


「うるさいぶーす」


「何ですって?!」


僕が一体何をしたと言うのでしょうか。
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