絶対零度の鍵
「あ。キンコンカンコンだ。」


右京が呟くと同時に、チャイムが鳴った。

6時間目が終わり、HRがその内始まる合図。


「なんで、これ鳴るんだろう。」


右京が不思議そうな顔をして首を傾げてうーんと考え込んでいる。


そんな様子も、ツボにハマった僕は可笑しい。


「さ、そろそろ行かないと」


僕が苦笑交じりに言うと、右京はきょとんとする。


「決闘をしにさ。」


負けるけど、と内心ぼやいた。


「あ、そうだった」


思い出したように手を叩いて、右京はぴょこんと立ち上がる。


入り口の鍵が掛かっているフェンスを乗り越え、隠れるように裏口に回ると右京が後ろについてくる。


校舎の中に入って、図書室に通じる階段を下りようとすると、右京が立ち止まった気配がした。


つられるように振り返ると、右京はキラキラと輝く水面を眩しそうに見つめている。


窓から零れる光が、透き通るような右京の髪を通る。
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