絶対零度の鍵
疑いようのない事実
遠くから聞こえる部活動の人間たちの声。
すぐ近くから響く、ボールを弾く音。
まだ高い場所にある太陽がじりじりと僕の身体を刺す。
体育館裏。
といったって。
バスケ部が体育館使ってるんだから、なんか隠れようにも隠れられない。
だって、ほら。
冬ならまだしも。
真夏の今、体育館の窓も扉も開けずにスポーツなんてやってられないわけで。
そうなると勿論、裏と言えど、体育館のすぐ傍で、陽の当たるこの場所で、立っている僕は丸見えだ。
制服でじっと相手の出方を待っている僕は、ひどく滑稽だろう。
それに相手も、、相手だし。
ちろっと小松を見ると、腕組みをしたまま、相変わらず僕をじっと睨んでいる。
それから…
僕はそこからすぐ隣に視線を移す。
今人気沸騰中の転入生が、いるわけだし。
右京は僕の脇で、目を爛々と輝かせ、口元には笑みさえ浮かべて行く末を見ている。