絶対零度の鍵
僕は緊張をほぐすために、コホンと咳払いした。


「…小松…くん。君の誤解なんだよ。俺は右京とは付き合っていないんだ」


僕はしっかり真実を伝えた。


筈だったのだが。


「なんで呼び捨てなんだよ、はぁぁぁん?」


怒りを煽るだけだったらしい。


しかも質問の答えとは違う箇所が、癇に障るとか。在り得ないって。


「とにかく、一発お見舞してやるぜ!」


空気を切った音がヒュッとして、その拳はすごい速さで僕の目の前まで迫ってきた。



うわ。


すんでの所でキリキリ避ける。


あーアブねぇ。痛い思いをする所だった。



「クミ、避けちゃ、だめだよ」


さっきよりは少し離れた場所で、右京は自分勝手なことを口走った。
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