絶対零度の鍵
「やるなぁ、卓」


意外そうな顔を隠そうともしないで、素直に称賛の言葉を掛けてくれる溝端。


返す言葉も見つからず、ただ惨劇を観察した。


状況を考えてみるならば。


多分、僕が思うに。


元々無理な姿勢で僕の顔面を狙っていた小松の横に立ち、右京の指示通りに出した手が小松の背中にゴーサインを出して押してあげてしまったんじゃなかろうか。



要は。


ただでさえつんのめるような格好の小松を思い切り後ろから押しました。


ということだ。


そりゃ痛いだろう。


そしてかなりずるむけるだろう。


右京って女は怖いぞ。やめたほうがいいぞ。


心の中で小松に同情する。


ちなみに僕は潔白だ。



やろうと思ってやったわけじゃない。
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