絶対零度の鍵
「まだまだぁ!」


小松が血をだらだらと流しながら、飛び掛ってくる。


そうだ。


思い出したけど、小松は柔道部だ。


なんか喧嘩っていうと、ついついボクシングを思い浮かべちゃうけど、小松は柔道だから。


だから組んでこようとするわけか―


投げられるのかな、それとも足を払われるのかな、なんて冷静に分析していると、またしても―


小松が、止まった。


目の前で。


もう嫌だ。


こんな現実。


僕は思わず両手で顔を覆った。


お願いだから、僕の平凡を返してください。
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