絶対零度の鍵
「クミ!今度は投げちゃいな!」


とても良いことを思いついたかのように、くすくすと笑うこの女は悪魔だ。


「その筋肉男は重たいから、一時的に軽くしてあげる!投げた瞬間に時間を流すから!」


僕は、一応人間なので。それもふつーの。


だから、当然弱いものいじめは嫌なので。


「もう、いいんじゃない?…小松。血でてるし。。。」


無駄だと思うけど庇います。


予想通り右京の頬はぶすっと膨れた。


「なに甘っちょろいこと言ってんの!大体仕掛けてきたのはその馬鹿じゃない!」


その馬鹿はあなたが好きなんですよ。

そしてこの騒動はそもそもそれが発端となって起きたんですよ。


と言ってやりたいが。


「むしぱんとかぷりんとかいう名前の食べ物!食べたかったのに!」


かなり私怨がらみなようで。


「クミがやらないならあたしがやる!」


「え、ちょっとま…」


僕が止める間もなく、彼女は暴走し出した。
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