絶対零度の鍵
「で。」


長机。


右隣に尭が不機嫌オーラ全開で頬杖をついている。


後ろにはざわつく同級生達。


「どうして、君はここに?」


僕は左隣の白銀髪の彼女に訊く。


「クミが居るから!」


にぱっと笑った右京は、ペンというものを知らず、僕の筆箱から奪ったボールペンをカッチカッチと鳴らしては喜んでいる。


中身は幼稚園児みたいに見えるんだけどな。


僕は彼女の力業の数々を思い返す。


なんちゅー、怪力なんだか…。


こんな怖いものなしの彼女に、僕はどうやってもヒーローになんかなれそうにない。


そして、彼女の特異な力。


それを目の当たりにしてしまった今、疑う余地はもう残されていなかった。


かといって、誰かに相談しても、信じてもらえないだろうし、逆に僕が精神病棟に入れられてしまう可能性だってある。
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