絶対零度の鍵
懐中時計の様なものを、じゃらじゃらと首から沢山提げている眼鏡の人物は、そこからひとつを取り出して確認する。




「そうですね。また、です。」




カチャリ、音を立てて、蓋を閉めた。




「……地球以外に問題がある箇所は?」




不機嫌さを隠そうともせずに、王は訊ねる。




「いえ。見当たりません」



そう言うと、目にも留まらぬ速さで、首から下がる各々を片っ端から開いて見せた。



深い溜め息を吐いて、王は頬杖を解き、頭を抱える。



「もういい、分かった。なんとかする。去れ。」




報告をしに来た者は一礼すると、姿勢をピンと伸ばしたまま、謁見の間から出て行った。
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