絶対零度の鍵
あれだけ厳重に閉まった物が、早々落ちる筈はないのだが、
どういうわけか、鍵は無く。
勿論、山の中も、散々捜したが、見つからず。
途方に暮れた右京は、仕方なく来た道を戻り、所々気になる箇所で止まっては捜していた。
「…もう、いいや…ツケにしてもらおう…」
本来民間には流れてはならない筈の鍵を紛失したこと自体が大問題なのだが、先程述べた通り、右京の頭を占めるのは金銭問題だけなのだ。
力なく飛びながら、自分の給料の何十年分か、何百年分かを返さなくてはならないと、ローン返済プランを組み立てる。
「無理だ…計算できない…」
途方も無い金額に益々肩を落とした。