絶対零度の鍵
「悲しむワケない。どーせ兄貴が成功してんだ。兄貴さえ良かったらそれでいいのさ。僕がどんな人間でどんな風に生活しようと、皆の前でへらへら馬鹿みたいに笑ってれば、それで十分なんだ。僕はずぅっと二番だからね」



常日頃、僕が自分の中だけで処理している感情だった。


誰かに話すことなんてしようとも思わなかった。


だけど、右京は非日常だったからか。


僕は素直に質問に答えることができた。


「だから、クミは地球が亡んでも構わないのかぁ。」


納得したように、右京は言った。


「自分が好きじゃないから、住んでいるこの場所も愛せないのね。」


思わず僕は立ち止まる。


なんでかって?


図星だったからさ。


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