絶対零度の鍵
「鍵師だ…」


右京はそう呟くなり、駆け出した。


「ちょっと待って…」


僕もつられて走る。


「鍵師ー!!!」


どこかぼんやりとしていた猫は、右京の張り上げた声に気づいたのかこちらを見た。


そして―


背を向けて逃げた。



「えぇぇ!?」



その行動に右京も驚いたのか、素っ頓狂な声を出した。


が。


「負けるかぁぁぁぁぁ!!」



間違いなく人より多く彼女に備わる闘争心に、火がついたらしい。


僕もついていくのが必死なくらい、加速した。


「まじかよっ」


全速力で街中走るとか、かっこ悪いんだけど。
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