絶対零度の鍵
「今のでわかったじゃろう。右京は『クミ』に見届けて欲しいようじゃ」
え?
何を?
僕は目を瞬かせる。
それを見ると鍵師は益々楽しそうに笑い声をあげた。
「右京は自分の力をフル稼働させて、きっと地球を救おうと奔走するじゃろうな。成功する確率は現段階では最悪で、まず地球存続は無理じゃ。だがどちらに転ぶにせよ、右京はこの星の行く末を、タクミに見て欲しいと思っているようじゃ」
えっと。それはどういう…
僕は結局どうしたらいいのかわからなくて、とうとう首を傾げた。
「右京の傍で、その目で見ていて欲しい。」
鍵師がその小さな頭を下げる。
「タクミは厄介なことに巻き込まれたと思っているじゃろう。だが、ワシからも頼みたい。」
そこで言葉を一旦切り、顔を上げると鍵師は言った。
「右京の傍に居てやって欲しい。」