絶対零度の鍵
元々そんなに物は置いていなかったが。


ただでさえ、クソ暑いのに、人口(?)密度が高い。


人が汗を流して帰ってきたというのに、僕の部屋のクーラーをガンガンに効かせて我が物顔で涼む客人たち。


なんとなく理不尽さを感じるのは僕の心が狭いのか?



遠慮っていう言葉を、あちらの世界の住人たちは知らないのかな?


つーか、世界滅亡の危機なのに、あまりに悠長に構えすぎなんじゃないのか?



軽く眩暈を覚えつつ、とりあえず鞄をどさりと置いて、自分の着替えを取る。



「クミー、ここのボスが倒せないー」



右京の声を無視して、僕はドアを閉める。



「けちぃー」


「右京、ワシもやってみたい」



閉めたドアの向こうから、ふたつの勝手な声が聞こえ、益々脱力する。
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