絶対零度の鍵
その日のことを、蓮貴は今でも鮮明に覚えている。


千年に一度の鐘が鳴り、自分が温度師に任命された日だ。


力を使い、雨を降らせたのは自分だった。粉雪に変化させたのも。





一体あの日に何があったというんだ?




自分でも理由がわからない胸騒ぎがする。




これ以上聞いてしまうと、取り返しがつかなくなるような、そんな気がした。




だが。




「何が…あったんですか?」




気づくと蓮貴は訊ねてしまっていた。
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