絶対零度の鍵
「全く。何度目だと思っているんだ。愚かしい人間共め。あー忌々しい。」
絹と銀糸で出来ている着物の様な衣服が、頭を振る度に輝く。
「右京、左京」
がらんとした部屋に、王は独り、呼び掛ける。
「あいよ」
「はーい!!」
間髪容れずにふたつの返事がどこからともなく聴こえたかと思うと。
王の座る右と左に、少年と少女が現れる。
顔立ちはそっくりだが、白銀色の髪の毛を少女はお団子にしてひとつに縛っている。
一方、少年の方は長めのそれを無造作に散らしていた。
「今の話、聴こえていただろう?」
チャイナ服の様な出で立ちの彼らの背中にはそれぞれ、右と左の片翼が生えている。
そんなわけで、彼らは宙に浮かんでいた。