絶対零度の鍵
「その時封じ込められた温度師が翌日には消えて、行方不明になっている。まぁ、かなり前の話。致命傷を負っていたようだし、どこかで生き絶えたのじゃろう。。しかしそのせいで、跡継ぎの温度師は異例の王指名になって、今に至っている。」
「え、そーなの?」
鍵師の言葉に、今度は左京が驚いた声を出した。
「うむ。そのせいで、温度師の跡継ぎが決まる時に降る星は、もう長いこと誰も見ておらんのだ。」
鍵師が嘆かわしい、というように前足で頭を抱えて見せた。
「…一体、その本に載っていることとはなんだったんだろう…」
僕が呟くと、鍵師が偉そうに頷いた。
「そう、それをワシは話したくて、こんな長い前置きを話したのじゃ!」
え、前置きかよ!
僕は心の中だけでツッこむ。