絶対零度の鍵


その肝心なところをさっきから知りたいから皆聞いてるわけで。


もっと早くに結論だけ言ってくれたら、空がこんなに白けてくる前に、眠れたことだろう。




「えー、前置きぃ?長すぎるー!!」


「ほんとだよ、じじぃ。早くしろよ」




思ったのは、どうも僕だけじゃなかったらしい。



「あー、最近の若いのはせっかちでかなわん!」



鍵師はふんと鼻を鳴らした。



いや、だって、一刻も争う事態なんでしょうがよ、今。


再度僕はツッこみを入れる。


心で思っても、僕の声は届かないだろうけど。

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