絶対零度の鍵
鍵師はオホン、勿体ぶるように軽く咳払いをした。
「星が並ぶ時、空間が歪む時、全てが入り混じる時―、絶対零度の鍵と灼熱の鍵を十ずつ共に使い雨を降らせると―」
鍵師の言葉に全員が耳を澄ます。
「それは、死の雨になる」
そんな僕らの顔を順番に見回し、鍵師が言った。
「死の雨が降れば、全てが終わる。滅亡じゃ。生き残る者は一人もおらんじゃろう。ただ、温度師には相当な力量が必要なんだが。恐らく今の温度師はこのことを知ってはいるが、それだけの能力はないだろう。所詮王の指名じゃ。普通より上、本物の温度師よりは下って所だからの。」
「じゃ、どうするの?心配要らないの?」
右京が首を傾げて言った。