絶対零度の鍵
勿論その頃まだ王に仕えていなかった双子は知る由もなく。



雨が降った事実は知っていても、それがいつだったのかを思い出せないのは当然だった。




「そうでしたっけ…世界が滅びるって、そんな簡単に?」



右京があわわわと動揺を隠すことなく訊ねた。




「簡単にではない。兆候はある筈。先代はそれを見逃した。」




力なく王座に座りなおした少女はそのまま、また考え込む。




「…雨が降ってからどれくらいで滅びるんだ?」




左京の質問に、王は頭(かぶり)を振る。




「分からんのだ。そこに住む者達に寄る。…ただ、一つだけ言えることは―」




そこまで言うと、王は天を仰いだ。




「今、消える兆候を示しているのは地球だという事だ。」
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