絶対零度の鍵
放たれた力
僕等以外誰も居ない小高い山には、短い呼吸音だけが聞こえる。
暫く誰も何も言わずに、恐らくそれぞれが、今しがた起きたことを頭の中で反芻していた。
「…大昔の温度師が、甦ったということか…?」
やがて沈黙を破った鍵師が、僕の膝から草むらに降りた。
双子も何か言いたげにこちらを見ているが、声を出すことが出来ない。
ちなみにいうと、左京の方は鳩に戻ってしまっていた。
だが、白い羽は大分焦げたり、血に染まったりして痛々しい。
「…けど、、あれは僕の兄貴だぜ?」
混乱する頭を、なんとか冷静に保とうと必死になりながら、僕は鍵師を見た。