絶対零度の鍵


「とりあえず、、、帰ろうか。家に」



そう言って右京を見れば、彼女はにこりと笑って、



「うん!」



と頷いた。



小山を降りて、公園を出た所で、



「俺達を置いてくなよ!」



置いてかれたことに気づいた左京と鍵師が猛ダッシュで駆けてくる。



知らん顔して立ち止まらずに歩き続けながら。




あー、こういう何気ない瞬間や出来事が。



かけがえのないって言うんだなって初めて思った。



当然別れが来ることは、出逢った時からわかっていたし、結果がどう転んだにせよ、世界は相容れないもの同士だ。



こんな時間の過ごし方は、今だけだ。

< 350 / 690 >

この作品をシェア

pagetop