絶対零度の鍵


≪私がお前達をこちらに来させよう≫



王はそう言い残すと、フッと姿を消した。



「ほら、クミ、とにかく行くよ。あっ、ピザとコーラ、持ってって!」



「あ、コーラ、俺持つよ」



緊張感に欠けるふざけた双子が自分勝手なことをぬかしている。



「ちょっと、待って…行くって、ど、どうやって…」



やっと絞りだした僕の質問に右京はくすっと笑う。



「そのままで大丈夫だよ」



「―え?」




その時、僕は何も見えなかったし、何も感じなかったんだけど。


僕の部屋から眩しい光がカメラのフラッシュのようにはじけたと思ったら。


確かに部屋には誰も居なくなって、空っぽになるんだと。


見ている人がもしもいたならそんなふうに見えるんだよと、後から右京が教えてくれた。
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