絶対零度の鍵


「よし。じゃ、右京はまず治癒室に行って翼をどうにかしてもらっておいで。」



固まっている僕を余所に、王は指示を出し始めた。



「左京も右京と一緒に行くこと。鍵師、お前も行くか?」



「…いえ、ワシは結構です。幸い怪我はひとつもしていませんし、疲労もそこまでではございません」



すぐさま移動を始める双子を横目に、鍵師はやんわりと断る。



「わかった。では温かい飲み物と食事を用意させよう。暫しごゆるりとされるが良い。」



王がそういえば、どこからかわらわらと仕える者たちが入ってくる。



「タクミも今から客室に案内させよう。ここの衣を届けさせるから、着替えるように。」

< 364 / 690 >

この作品をシェア

pagetop