絶対零度の鍵
謎の痕跡
「とはいったって…」
山の上空を飛行しながら、右京は早くも途方に暮れている。
「あたしは探偵向きじゃないのよぉ。どっから手を付けていいか、わかんない…」
それでも気になる場所があった。
大雨の際に、雷が落ちて真っ二つに割かれた大木。
「もう一度、見てみよっと。」
そう呟くと、右京は山に降り立った。
真っ黒になった木は変わらずそこにあり、びりびりと紙を破いたかのようなぎざぎざの痕跡が、雷の威力を教えている。
「かわいそう」
木の痛みが伝わってきて、右京は顔を歪ませた。