絶対零度の鍵


術をかけられていても、少し冷える気がする空間を、ふたり無言で歩いた。



5分、いや10分くらいかな。


さすがに暗闇にも無言にも慣れてきた頃。




前を行く右京がぴたっと止まった。




「クミ…、しゃがんでちょっと這い蹲る格好になって…」




右京の声が反響する。



「こう?」



言われるまま、しゃがむと、右京が僕の手をひっぱってごつごつとした枠みたいな石を触らせた。




「これ、ちょうどあたしたちが抜けられるくらいのトンネルなんだけどここくぐった先が目的地になるの」




えーと、つまり?



僕には直ぐに解釈できない。




「だから、匍匐(ほふく)前進って言うの?とにかくそれで進んでいって。」



何故なら、できるならしたくないからだ。

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