絶対零度の鍵


あの塾の帰り道。


僕が寄り道なんかしなかったら。


あの公園に行かなかったら。


そしたら、この子に逢うこともなく。


普通に時間が過ぎて行って。


多分突然兄貴が行方不明になって。



それで、地球が滅びる。


ま、そんなシナリオだったんだろう。



まさか、僕が住む場所以外に、どこか他の世界があるなんて、考えもしなくって。



ましてや助けてもらうことになっているともつゆ知らず。


暑い中アイスでも食べて、音楽をダラダラ聴いている間に、その「日」自体がなくなったのかもしれない。



守りたいもの、なんて、なかった気がする。

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