絶対零度の鍵


「ほら、クミ、見て!」



空気の通り道ができたのか、狭い通路の先から冷たい風を感じることができる。




…見てって言われたって…



考え事をしていた僕は、前を行く右京の言葉に呆れる。



右京がどかなきゃ、見えないって。



そんなツッコミを心の中で入れてると、前が突然明るくなった。




「え…?」



その眩しさに、思わず目を細めながら、右京がこの狭い通路から外に出たのだと理解した。



ほとんど目を瞑った状態で、僕は出口から這いずり出る。




「ほら!」



右京に急かされて仕方なく、瞑ったままでいたかった目を叱って開けた。




「あ。。。」




そして、目の前に広がる風景に―



文字通り、言葉を失った。
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