絶対零度の鍵




「皆方。特に遠方より来られた方々、この場にお集まりいただき、心よりお礼申し上げる。今我々は力を合わせ、協力しなければ乗り越えることのできぬ重大な局面を迎えておる。それは、数千年前の温度師の目覚めにより予測できない程大きくなった。それで皆で知恵を出し合い、ぜひともその解決策を見出せるよう願う。―これより、緊急会議を始める。」




銅鑼の様な音が響き、グスたちが定位置に着くと、おもむろに鳳凛が開会の宣言をした。



ぴりぴりとした空気は、始まる前から漂っていた。


のんびりぺたぺたのグスたちも、今日ばかりは縮こまっているように見える。




「まずは、共通理解を図りたい。これまでの事の流れを説明してくれんだろうか」




灼熱の国の学者っぽい老人が、静まり返る面々の中で臆する様子もなく、先だって発言した。



灼熱の国の双子の片割れと、左京がすぐに立ち上がる。




「…では、鳳(あげは)殿、先に発言されるが良い。」




鳳凛が左京を目で制し、座らせる。



左京は絶対不服だろうが、普段とは違いそんな感情はおくびにも出さなかった。




「はい」



黒髪の鳳は、少し風変わりな高い声で返事をする。


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