絶対零度の鍵
そこへ、美しい囀(さえず)りが聞こえる。
「きれーな声」
音の主を辿ると、鳴き声と同じく美しい玉虫色の羽を持つ小鳥が、炭と化した大木の枝の先端に止まってこちらを見ていた。
「そんな真っ黒なとこに止まって、怖くないの?」
右京もそこまで軽く飛んで訊ねる。
鳥は怖くない、と答えた。
「そうか、この木は友達で、しかもあなたのお家でもあったのね…」
その事実を聞いて、右京は益々やるせない気持ちになる。
「じゃぁ、あの雨の日、あなたはこの中に居たの?」
鳥は首を振った。