絶対零度の鍵
「我が国では―」
鳳は背筋を真っ直ぐに伸ばした状態で、周囲を見回す。
「銅星(あかぼし)という星が、長いこと不安定な状態を繰り返していました。温度師との相談の上で、鍵を使うことで少しの時間を稼ぎ、解決策を練る、その繰り返しが暫く続いていたことは事実です。」
王の両隣に席を有する双子、その内の一人は今立って発言をしている鳳で、もう一人は座ったままうんうんと頷いている。
「しかし、実際の所、解決策は見つからなかったのです。何故なら、そこに住む命あるモノたちが、星を破壊している存在であったからです。」
ん?
僕は聞きながら、思い当たる。
この話、どっかで聞いたような。
「それ、うちと一緒!」
突然響いた明るい声に、水を打ったように静まり返る一同。
「右京」
「ね!うちと同じだー!地球と同じ劣等生なんだねっ」
「右京」
鳳凛が右京を窘める。
「あっ、はーいっ、口チャック、ね!」
頭を抱える極寒の面々。
控えているグスたちまでもが、やれやれと首を振っている。
「…続けて、よろしいでしょうか?」
「どうぞどうぞー!!」
王が口を開く前に、右京が元気よく頷いた。