絶対零度の鍵
「混乱に陥っていた私たちは、危うく極寒の国のせいにしてしまう所でしたが―、ある時、幼子を白い獣から救ってくれた白銀の髪の少女の目撃情報が複数寄せられたことがありました。片翼とのことでしたので、恐らく極寒の使者かと思い当たりました。」
鳳がそこまで言うと、右京がそれあたしだ!と嬉しそうに笑った。
「暫くすると、左京殿が我が国に入られ、見事白き獣を捕らえ献上してくださいましたので、私たちは間違いを犯さずに、極寒との情報交換をすることができました。極寒の空の情報と行方不明の鍵師。類似する点が多くあったことから、そして左京殿の情報から、温度師に的を絞ることができました。私達の情報はここまでです。」
鳳はとりあえず、自分の分は果たしたと思ったのか、席に座る。
各人は、難しい面持ちをしているのみで、誰も発言しない。
そんな中。
「…で。じゃぁ、その後、俺が引き継いでもいい?」
かなりフランクに左京が許可を求めた。
鳳凛はもう慣れているようで、頷くのみ。