絶対零度の鍵
「灼熱の皆さん、お久しぶりです。先日はどーも。あれから俺が地球へと赴き、そこで起きた出来事をご報告させていただきたいと思います。」
左京はいつになく、ちゃんとした言葉で短く挨拶をした。
横柄な感じも、白き獣を捕らえたことで帳消しにされている模様で、灼熱の面々も、表情が穏やかだ。
「灼熱の国で王と謁見し、我が国の鳳凛との対談が行われ、俺は自国の鍵師と姉を探しに地球へ行き、二人に会うことに成功しました。無事に生きていたこの二人は―」
言いながら、左京はちらりと僕を見る。
「そこに座っている人間の少年に助けられ、匿われていました。」
途端に、辺りがざわつく。
「なんだと!?そこに座るのは滅びの星の者か!!」
学者っぽいおっさんがちょっと怒ってるみたい。
うーん、と。
僕、歓迎されてない感じ?
「はい。ですが、瀕死の状態の姉を介抱し、行き場を失った鍵師を養ってくれていました。」
左京は少しも取り乱すことなく、淡々と続けた。