絶対零度の鍵

「まぁ、絶対零度の鍵を使えば、とりあえずは持ち直すだろうよ」



左京がなんてことはないように付け足す。



「たぶん、タクミが生きてる間は平気なんじゃないかのぉ。」



鍵師が顎の毛をいじりつつ、呟いた。




「時間の流れが、こことは違うからの」




そ、そうなのか。



僕はこっそりと安堵の溜め息を吐く。



いやいや、自分の時代さえ良ければいいってわけじゃないんだけど。



っていうか、絶対零度の鍵も、ないんだけど。



ていうことは、まだ安心できないんだけど。




「切り離されると、致命的だよねぇ」



そこに、右京の爆弾発言が落とされた。



鍵師も左京も「あー確かにー」と頷いている。


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